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【フクシマ・タイムズ】 2013年12月17日 On Fukushima Beach (1)


◆ On Fukushima Beach (福島の渚にて) - その1

Andrew Ebisu 監督のドキュメンタリー映画 “On Fukushima Beach (福島の渚にて)”。2012年9年25日公開。

監督は、この映画を「日本に」捧げています。日本人にこそ見ていただきたいこのような作品が、公開後 1年以上も打ち棄てられたままなのは、大変残念です。

映像は約1時間。数回に分けて抄訳いたします (注: 全訳でも逐語訳でもありません)。

http://www.youtube.com/watch?v=dOSjkEwCc8o

(00:20 – 01:45) 安全性を喧伝した人々

  • オバマ米大統領:
    「米国民は、最新の情報を入手する以外に、特に予防的措置を取る必要はない。」
  • George Monbiot氏 (環境保護主義者・作家):
    「まだ誰も、致死量と言われる放射線には被曝していない。」
  • Ann Coulter女史 (作家):
    「政府の基準値を超える放射能は、実は身体に良く、ガンの発生を減らす。」
  • 山下俊一教授 (福島県放射線健康リスクアドバイザー):
    「放射線の影響は、実はニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます。 これは明確な動物実験でわかっています。」 「100マイクロシーベルト/hを超さなければ、全く健康に影響及ぼしません。 昨日もいわき市で答えられました(発言ママ)。『今、いわき市で外で遊んでいいですか』 『どんどん遊んでいい』と答えました。福島も同じです。心配することはありません。」

(01:45 – 07:15) 危険性を指摘した人々

  • Helen Caldicott博士 (小児科医・作家):
    「WHO や IAEA の発表とは裏腹に、チェルノブイリの事故では、すでに百万人近くが死んだと思われる。これは、医学史上最悪の隠蔽だ。」 「日本の状況は、チェルノブイリの何倍も悪い。6基の原子炉が [同時に] 危険に曝されるとは。」
  • カク・ミチオ博士 (理論物理学者):
    「事態は制御下にない。依然として時限爆弾だ。」「この二週間で状況は根底から覆った。3基が部分的な炉心溶融だ、心配ない、と聞かされていたが、実は3基とも完全炉心溶融だと判明した。放出された放射線は最小限と聞かされていたが、実はチェルノブイリに比肩する量の放射線が放出されたと判明した。避難は12マイル圏だけだったのが、今やホットスポットが見つかっている。」「ニューヨーク市では、牛乳からヨウ素131が検出されている。」
  • Chris Busby博士:
    「日本政府は、福島被災地から放射能汚染された [ガレキ] を日本全国に搬出して燃やしている。なぜか?いずれ福島の子供達が白血病やガンで亡くなり始めたら、親達は日本政府を訴えるだろう。その時、高いガン発生率と被曝の因果関係を証明するためには、放射能に汚染されていない地域の対照群が必要になる。[その対照群となり得るグループをなくすために、日本全国で放射性のガレキを燃やしているのだ。]」
  • 氏名不詳 (女性):
    「オバマ大統領の選挙資金の最大の提供者は、原子力企業のエクセロン社だ。米国政府が、米国西北岸の放射性降下物に関して米国民に警告していないことについては、重大な疑義がある。」
  • Joseph Mangano氏:
    「[放射性物質は] 胎盤を通して胎児に取り込まれる。」
  • Arnie Gundersen氏:
    「ホット・パーティクル (訳注1) 1粒を検出するのは困難だ。だからといって、危険でないとは言えない。独立した科学者によるエア・フィルタを使った実験によれば、4月に東京では一人当たり平均10粒のホット・パーティクルを毎日吸入している。福島では、おそらく東京の30~40倍だ。驚いたことに、シアトルでも毎日5粒吸入しているという。肺の中に入ったホット・パーティクルは、局部組織に損傷を与える。体の外からガイガー・カウンターを当てても検出できない。」
  • Helen Caldicott博士:
    「2~5年で肺ガンや白血病が、15~17年後に固形ガンが、観られ始めるだろう。原子力産業にとっての切り札は、ガンの潜伏期間が長いことだ。ガンの原因は特定できないから。ガンの発生が激増するだろう。」

(訳注1) ホット・パーティクル: 比放射能の大きな粒子状物質

(08:00 – 09:55) 映画「渚にて (On the Beach)」の紹介。

1959年公開。スタンリー・クレイマー監督、グレゴリー・ペック主演。
第三次世界大戦で北半球が放射能汚染され、人類は南半球に避難したという設定。舞台となったオーストラリア・メルボルンの州立図書館前には「兄弟よ、まだ時間はある」という横断幕が掲げられた。

その後の核兵器・原発の拡散により、同映画のシナリオは現実的なものとなってしまった。さらに、福島の渚にて進行中の出来事は、サイエンス・フィクションを科学的現実に変えようとしている。

(ご参考) 「渚にて」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%9A%E3%81%AB%E3%81%A6_(%E5%B0%8F%E8%AA%AC)#.E6.98.A0.E7.94.BB

(09:55 – 11:15) この映画の紹介

津波の死者が何千人だったのに対して、放射能による死者は、現世代・将来世代にわたって何百万人にも及ぶ可能性がある。特筆すべきは、原発災害に伴う各国政府首脳・メディア・国連の無関心である。

(抄訳の続き – その2 – はこちらにてご覧いただけます。)