◆ On Fukushima Beach (福島の渚にて) - その5
ドキュメンタリー映画 “On Fukushima Beach (福島の渚にて)” の抄訳の続きです。
(前回分はこちらにてご覧いただけます。)
(動画はこちら)
http://www.youtube.com/watch?v=dOSjkEwCc8o
(37:50-42:50) 核の言論統制体制 (後半)
原子力発電の工程の中には、核兵器開発と共通するものもあるので、原子力は秘密主義で覆われがちだ。[だから] 福島第一の事故などについて、明快な情報を得るのは難しい。
原子力政策に関するロビー団体である米国原子力エネルギー協会 (NEI) は、東電を含め 350団体が会員として加盟している。
プリンストン大学の原子力産業専門家 M. V. Romana によれば、原子力研究に対する資金提供は、[NEIのような] 原子力ロビー団体から直接拠出されるのではなく、原子力ロビー団体からの寄付を受けた各国政府から拠出されるのだという。Romana によれば、米エネルギー省 (DoE) は原子力産業と密接な関係があり、同産業の利益を推進しようとする傾向がある。資金提供を受けた研究者らは、嘘をつこうと思っている訳ではないが、「イデオロギーとして一定程度、原子力および自己検閲にコミットしようとする。結局、次回の研究資金の申請書がどう見られるか、という所に行き着く。」 米エネルギー省の主要研究分野には、核兵器も含まれる。
原子力発電の核分裂で生じたプルトニウムや劣化ウランは、米軍の兵器にも転用される。
Helen Caldicott博士:
電力会社は、電気を売りさえすれば儲かる。[原子力] 発電所の建設は、補助金で賄われるから。こんな仕組みの補助金は、他の産業にはない。原発は、兵器産業の「放蕩息子」だ。1950年代にアイゼンハワー米大統領によって、『アトムズ・フォー・ピース (平和のための原子力)』が開始されたとき、兵器産業は「原子力が必要だ」と言った。それは「トロイの木馬」であり、裏に隠れて [核兵器開発を進めるための] カモフラージュだった。だから、[原子力産業 = 核兵器産業] は、とても邪 (よこしま) な産業なのだ。
イラクのファルージャにおいて [米軍が] 劣化ウラン弾を使用したことによって、放射能汚染と一般市民・米兵の被曝が起こった。イラク人・帰還米兵の子供に先天異常がみられることや、この惨事が認知されていないことは、米国政府・原子力産業の悪意あるアジェンダの存在を示唆している。
福島のメルトダウンは、東電と政府が基本的な安全勧告に従っていれば防止できた、と日本の独立 [検証委員会] 報告書が明らかにした。東電は、非常用電源を増強するどころか、お金のかかる規制や安全管理の欠如が露呈する規制を退けることに成功した。報告書はまた、東電と結託してその独善を許したとして、政府にも責任があるとした。
何十万人もの日本人市民の抗議にもかかわらず、原発が再稼働された。どうやら、政府こそ原子力産業であり、原子力産業こそ政府であるようだ。東電・GE・米日両政府・軍産複合体・国際学界の癒着、および原子力産業と核兵器産業との絡み合い [を見れば]、原発や放射能に関する否定的な報道が抑圧される理由の説明がつく。
(抄訳の続き – その6- はこちらにてご覧いただけます。)