◆ 2014年5月15日付 Scientific Reports誌 (Natureグループ)
ネイチャー (Nature) グループの Scientific Reports 誌からこのほど出版された、琉球大学の大瀧丈二准教授らによる 「ヤマトシジミ (*) における内部被爆の影響」 に関する研究。
(* 訳注: ヤマトシジミ … 蝶(チョウ)の仲間。)
「内部被曝の生物影響を定量的に論じた世界的に稀少な論文」 とのことです。
http://www.nature.com/srep/2014/140515/srep04946/full/srep04946.html
- 「おそらく日本で最も汚染度の低い地域である沖縄の幼虫に、[福島周辺の] 汚染地域から集めた葉を食べさせたところ、セシウムの内部被曝線量に応じて、低線量で死亡率と異常率が急激に増大した。」
- 「結論として、少なくともこの蝶について、またおそらく人間を含めて汚染地域に生息するある種の生物についても、放射性セシウムの摂取による内部被曝のリスクを認識することが重要である。」
(以下、琉球大学 大瀧研究室のサイトから引用します。)
http://w3.u-ryukyu.ac.jp/bcphunit/ronnbunn.html
内容
①ヤマトシジミが幼虫期に食べるエサの量を定量化し、内部被爆した線量を算出した。
②内部被爆した量と死亡率(異常率)の関係を調べ、半数のヤマトシジミが死亡する(異常が生じる)線量を算出した。
③内部被爆させた蛹(さなぎ)に含まれる放射性セシウムの線量を定量化し、体内に蓄積しているか確かめた。
④ヤマトシジミの内部被爆実験から考えられる放射能汚染の生物学的影響について考察した。
これらの実験から言える結論 (ヤマトシジミにおける結論)
- 低線量で影響が急激に増大する。
- 広野、福島、飯舘のヤマトシジミは相当量の内部被曝を受けている。
- 維持率・蓄積率は低線量ほど大きい。
オープンアクセスなのでどなたでも読むことができます。
(引用終わり)
(関連記事)
◇ 2014年5月15日付 Smithsonian.com
「微量であっても放射性のエサを食べた毛虫は、突然変異体の蝶になった」
(Even Tiny Amounts of Radioactive Food Made Caterpillars Become Abnormal Butterflies)