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2017年11月15日(米国時間)、日本を含むアジア5カ国の歴訪を終えたトランプは、ホワイトハウスで記者会見を開き、演説を行った。この演説の最中に、ちょっとしたハプニングがあった。
演説の途中、水が飲みたそうなそぶりを見せるトランプ。水を探すが、見つからない。
「なんだ、水はないのか。まあ、いいや。」
会場に居た誰かが、演壇の脇に飲料水があることをトランプに教えてあげたようだ。ボトル入りの飲料水を拾い上げたトランプは、おもむろに蓋を開け、ボトルに直接口をつけて水を飲んだ。
このときのトランプの動作がぎこちなかったことを捉え、主流メディアはここぞとばかりにトランプを揶揄する報道を行った。
(出典)2017年11月16日付 abc記事
Thirsty Trump interrupts speech for sips of Fiji water
The president paused his remarks twice Wednesday to take a drink.
(喉が渇いたトランプ、演説を中断してフィジー・ウォーターを一口
大統領は水曜日、演説を2度中断して水を飲んだ。)
https://abcnews.go.com/Politics/thirsty-trump-interrupts-speech-sip-fiji-water/story?id=51177560
前掲記事の中で、米 abc はトランプの過去のツイートを取り上げて、トランプをくさした。2013年、オバマ大統領の一般教書演説に対する応答の最中に水を飲み出したマルコ・ルビオ上院議員を揶揄して、トランプは次のようにツイートをしていた。
「今度マルコ・ルビオが水を飲むときは、ボトルから [直接] ではなくグラスに注いでから飲んだほうがいい」
(出典)トランプ 2013年2月14日付(日本時間)ツイート
https://x.com/realDonaldTrump/status/301767471562629120
このツイートを持ち出してきて、abc はボトルに口をつけて水を飲んだトランプを皮肉ったのである。
動画で見ると、この時の水を飲むトランプの動作はどことなく不自然である。一回目は、ラッパ飲みというよりは、縦笛を吹くようなボトルの持ち方だ。蓋を開けるときの動作は、ボトルのラベルがカメラに写るようにしているように見えなくもない。水がこぼれないように、気を遣っていたのかもしれないが、、、
(動画)英紙ガーディアン
Drinking problem: Trump has awkward water moment
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(動画)ニューズウィーク誌:トランプは奇妙な水の飲み方をする
Why Does Trump Drink Water Like A Child?
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この時、トランプが手にしていた飲料水のブランドは「FIJI water(フィジー・ウォーター)」だった。トランプの不自然な動作を見て、トランプ支持者の一部は、トランプはフィジーに関する何らかのメッセージを送ったに違いない、そのメッセージとはフィジーの性的人身売買に関するものだ、という解釈を提示した。
(参考)2017年11月21付 インターナショナル・ビジネス・タイムズ記事
Donald Trump’s water bottle gaffe was a coded message about paedophiles, say conspiracy theorists
(トランプの水入りボトルをめぐるヘマは、小児性愛者に関する暗号メッセージだった、と陰謀論者達)
そしてその解釈を裏付けるために、アメリカ国務省の人身取引監視対策部(Office to Monitor and Combat Trafficking in Persons)による国別「2016年人身取引報告書」のフィジー編を引き合いに出す人もいた。
同報告書によれば、「フィジーは、性的人身売買や強制労働を強いられる女性や子どもの出所国であり、強制労働や強制売春を強いられるアジアの男女の通過国・渡航国である。フィジーの女性や子どもは、海外やフィジーの都市で、性的人身売買や家庭内奴隷状態を強いられている。」
(出典)アメリカ国務省 人身取引監視対策部 国別「2016年人身取引報告書」フィジー編
https://2009-2017.state.gov/j/tip/rls/tiprpt/countries/2016/258766.htm
ただし、この国務省の「人身取引報告書」は各国別に作成されていることから、フィジーの人身売買をめぐる状況が、他国と比べて突出して酷いとまでは言えないだろう。だから、トランプはフィジーの性的人身売買に関するメッセージを送ったのだ、という解釈はこじつけのようにも思えたのだが、、、
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