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【フクシマ・タイムズ】 2014年5月12日 生態系の異変


◆ 2014年5月5日付 ニューヨーク・タイムズ紙

Timothy Mousseau 博士 (サウスカロライナ大学 生物学教授) の研究について報道。

  • Mousseau 博士は、チェルノブイリ周辺の放射能汚染地域の生態系を1999年以来研究し、放射能が動植物に及ぼす影響を長期にわたって調べている。同博士らの研究報告によれば、放射能汚染地域では非汚染地域に比べ、鳥の腫瘍やくちばしの奇形が多い。また、昆虫やクモの個体数の減少が観られる。(訳注: 鳥に腫瘍ができると、通常長くは生きられないため、鳥にこれほど腫瘍が観られるのは衝撃的とのこと。)
  • 同博士は、3.11後は福島でも同様の研究を行っており、約10回来日。まだあと数年はデータを集める必要があるものの、すでに福島原発周辺の汚染地域でもチェルノブイリと同様の影響が見え始めているという。「もし福島でもチェルノブイリと同様の線量-反応関係が見つかれば、放射能こそが生態系に悪影響を及ぼしている原因だという仮説を、大いに補強することになる。」
  • 昨年福島を訪れたとき、クモの巣の形が変なことに気付いた。放射線被曝によって、クモがきれいに巣をつむぐ能力が損なわれている可能性がある、という仮説を立て分析中。

http://www.nytimes.com/2014/05/06/science/nature-adapts-to-chernobyl.html?hpw&rref=science&_r=0

(関連記事)
◇ 2013年10月7日付 Public Radio Exchange

Timothy Mousseau 博士へのインタビュー

  • 福島のツバメ多数(調査した個体の10%)の羽根に、白斑(白いまだら模様)が観られる。チェルノブイリでも報告されている現象。
  • 福島の最も汚染のひどい地域では、鳥の個体数減少の兆しが出ている。チェルノブイリでも起きた現象。福島とチェルノブイリに共通する鳥14種を調べたところ、放射能による悪影響の度合は、今のところ福島の方がチェルノブイリよりも約2倍強く出ている。

http://www.prx.org/pieces/104331-what-are-the-long-term-effects-of-nuclear-accident#description

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◆ 2014年5月1日付 Orange County Register

  • 米西海岸カリフォルニアの浜に、二年続けて多数のアシカが打ち上げられている。その多くは子供で、脱水や栄養失調などの症状を示しており、死にかかっている。あまりにも弱っていて、自力で餌が獲れない。

http://www.ocregister.com/articles/year-612311-lions-sea.html

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◆ 2014年3月27日付 The Nome Nugget (アラスカの新聞)

(pdf の 1・4ページ目)

  • アラスカ・フェアバンクス大学の Gay Sheffield 氏:
    「地域住民は、食品や水の検査を繰り返し求めてきた。アザラシが原因不明の病気になり、アラスカ初の鳥コレラの症例が報告され、珍しいクジラの死体がアラスカ西海岸に打ち上げられた。その度に地域住民は、福島からの放射能の影響について懸念を表明してきた。

http://www.nomenugget.net/archives/2014/3.27.14%20NN.pdf

◆ 2014年2月付 アメリカ海洋大気庁 (NOAA) 海洋漁業局

  • 2011年7月中旬から、アラスカの北極およびベーリング海峡地帯で、皮膚病変を起こしたアザラシの病体や死体が多数発見され始めた。ワモンアザラシを中心に、毎年生え変わる毛がちゃんと再生しなかったり、毛の生え変わりが遅れたり、皮膚に潰瘍ができたりする現象が観られた。中には、無気力症状、呼吸困難、胸腺萎縮や肝炎などの体内疾患が観られるアザラシもいた。同様の症例は、カナダ西部、ロシア東部、日本のアザラシでも報告されている。さらにアラスカでは、太平洋のセイウチに皮膚病変が観られ、中には死を伴うものもあった。
  • 2011年12月までに、アラスカ北部および西部において、病体の [アザラシなど] ひれ足動物の症例が100を超え、 「異常な大量死事象 (Unusual Mortality Event)」 が宣告された。
  • 病原を特定すべく広範な分析が行われているが、これまでに感染性の病原体が原因だとは特定されていない。科学者らは、放射線が病原の一つではないか、という可能性について調べている。

http://alaskafisheries.noaa.gov/protectedresources/seals/ice/diseased/ume_factsheet0214.pdf

(関連記事)
◇ 2014年1月2日付 The Nome Nugget (アラスカの新聞)

(pdf の 6~7ページ目)

  • 2011年に [アラスカの] アザラシに脱毛・皮膚のただれ・無気力症が発生したが、西アラスカの町ノームで自給自足している猟師の報告によれば、捕獲したアザラシに依然として同様の症状が観られる。

http://www.nomenugget.net/archives/2014/01.02.14%20NN.pdf

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◆ 2013年6月付 Animal Health Monitor

(pdf の 6ページ目)

  • 2011年の冬および2012年に、記録的多数のシロフクロウが、越冬のためカナダ西海岸に飛来。ひどく痩せているか、死にかけか、死んでいる状態で見つかった。
  • 2012年の冬に集めたシロフクロウ49羽の死体を、研究者らが2013年1月および4月に調べた。死体解剖の結果、急性の胃出血または腸出血を伴う死体蒼白が観られた。終末時腸出血は、ペット用の鳥やミンクにおいて、重度の生理的ストレスの現れであることが知られている。

http://www.agf.gov.bc.ca/ahc/AHMonitor/2013june.pub.pdf

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◇ 2013年1月20日付 サウス・チャイナ・モーニング・ポスト

  • 通常は約5年に一度しかヴァンクーバーに飛来しないシロフクロウが、二冬続けて飛来。
  • フクロウは、丸太などの上に力なく止まっている。健康状態は悪く、中にはひどく痩せているのもいる。カビが原因のアスペルギルス症という呼吸疾患にかかっているのもいる。この病は、免疫力低下や栄養不良によって引き起こされることがある。

http://www.scmp.com/news/world/article/1131770/joy-and-concern-snowy-owls-arrive-vancouver