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【フクシマ・タイムズ】 2014年3月22日 NYT紙、批判連発


このところ、安倍政権への批判を強めているニューヨーク・タイムズ (NYT) 紙が、福島第一原発の処理についても批判を連発。作業員の質の低さについて、重ねて取り上げています。

◆ 2014年3月21日付 ニューヨーク・タイムズ社説

http://www.nytimes.com/2014/03/22/opinion/fukushimas-shameful-cleanup.html?hp&rref=opinion&_r=0

(抄訳)

福島第一原発の廃炉作業に、責任逃れの行動様式が広がっている。3千人の請負労働者の内、技術的専門知識や放射線の知識をほとんど持たない、未熟な作業員の比率が増えている。一日の稼ぎは約1万5千円で、普通の建設の仕事よりも低い。ほとんどの者は、保険に加入させてもらえない。多くは極貧であり、冷酷な労働ブローカーにリクルートされる。ブローカーの中には暴力団関係者もいる。作業員らは、放射線被曝が法定限度に達すると放り出される。批判者らは、一連の大規模な汚染水漏れの要因として、作業員の質の低さを指摘。

廃炉の責任を負う東京電力は元請け業者を雇い、元請け業者が下請け業者を雇う。請負労働者らは、この多階層の下請けピラミッドの最下層に位置する。最近タイムズ紙が報じたところでは、彼らの放射線被曝量は、平均で東電従業員の約2倍だという。東電は、元請け業者の雇用慣行についてコメントする立場にないと言い、現場の事情を知らないようだ。福島では、1千社超が作業に従事している。

この下請けシステムは、原子力産業が1970年代に生まれた時からの特徴だが、緊急事態が続く福島では危険だ。さらに東電には、放射性物質を除染し、汚染水をコントロールし、メルトダウンした原子炉を廃炉する能力があるのかすら疑わしい。これらの任務は、電力会社の能力と専門性を超えるものだ。

原子力を推進してきた日本政府こそが、福島の除染の責任を東電に負わせたのだ。政府は、株主と貸し手である銀行を守るために、東電を破綻させなかった。そして国民の税金を使って原子力損害賠償支援機構を設立し、同機構が東電に福島の処理費用を融資した。この仕組みによって、政府は除染の責任を負うのを都合よく回避できたのだ。

だが、請負労働者のお粗末な状況が示すように、現行の仕組みは擁護できない。特に、メルトダウンした原子炉の処理方法やいつになったら放射能の脅威を止められるのかなど、分からないことが多すぎるからだ。政府が事故現場の直接管理に乗り出すべき時は、とうに過ぎている。

◆ 2014年3月16日付 ニューヨーク・タイムズ

  • 複数の証言によれば、福島第一原発の作業員の間でアルコール依存症が蔓延。ある作業員は、同僚ら共々、二日酔いで出勤したこともあるという。
  • 作業者の確保が難しくなってきており、ネット上で求人を行うブローカーが増えている。採用の基準は低く、ある求人広告では「常識があり、会話ができること」が要件となっていた。

http://www.nytimes.com/2014/03/17/world/asia/unskilled-and-destitute-are-hiring-targets-for-fukushima-cleanup.html?hpw&rref=business&_r=0

◆ 2014年3月10日および11日付 KPFA Flashpoints (カリフォルニアのラジオ番組)

  • 福島第一原発で作業に従事する日雇い労働者が、800人以上姿を消している。殺されたか、作業で命を落とした可能性がある。そもそも現場に入る時に、登録すらされていない。こういった労働者は、使い捨てにされている。一部は移民労働者だ。

(3月10日付放送) http://www.kpfa.org/archive/id/100824

(3月11日付放送) http://www.kpfa.org/archive/id/100859

(音声の一部を文字起こししたものはこちらから)